大矢野原農場(熊本県県)の安心若鶏
大矢野原農場は、熊本県中部、阿蘇外輪山の南に広がる草原地帯にあります。標高600m、周囲が山に囲まれた静かな場所にある農場です。
およそ5000羽を飼育する鶏舎、13棟、農場は陽が差し込み、風が抜けて行く作りで、若鶏はすくすくと育っています。あれっ、嫌な臭いが全くしません。その秘密はあとで‥‥。
若鶏は生まれてすぐに農場に届き、ここで60日以上飼育され、最初は小さかったヒヨコは3~3.5kg位まで育ちます。普通、若鶏は50日程度で出荷されるのですが、大矢野原農場では、それから更に10日以上長く飼育することにより、鶏肉の美味しさであるイノシン酸が増えます。これが大矢野原農場の鶏肉が普通の若鶏肉とは違う美味しさの秘密のひとつなのです。
エサ(飼料)は、トウモロコシ、国産米、大豆粕やきな粉など、遺伝子組み換えしていない飼料です。健康な鶏を育てるために飼料にもこだわっています。
この農場の2代目、日永(ひなが)幸介さんにお話を聞きました。
お父さんはサラリーマンだったそうですね。
――はい、福岡市に住んでいました。1980年に父が単身で始めました。当時、若鶏は“薬剤まみれ”といわれていました。生協で安心できる安全な鶏肉をさがしていることを聞き、「よし!俺がやってやる」ということだったようです。2年後には家族が引っ越しました。小学校も家から4kmもあり、歩いて通学です。いきなりでしたので大変でした。父の養鶏は、素人の悲しさで最初は鶏が途中で死んで、半分くらいしか育たないという状態で、家に全く現金がないような生活も経験しました。
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農場を継ぐつもりでしたか。
――いいえ、あまりその気がありませんでした。普通高校に進学して長崎大学工学部の機械システムに進学しましたが、卒業できませんでした。自宅に帰り、農場を手伝っているうちに、近くで野菜づくりをすることになり、トマト栽培は本格的に学びました。
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結果的に農場を継ぐことになりました。
――2016年4月の熊本地震で鶏舎や工場にかなり被害が出て、農場を手伝うことになりました。農場は20代のときに手伝っていたし、野菜づくりをしながら農場の作業もやっていました。それですんなり継ぐことになりました。これが直接のきっかけです。もうひとつ大きな理由は、これまでも安心・安全な若鶏生産をしてきたのですが、鶏にとっても快適な農場を目指したいと考えました。そこで農場に以前から導入されていたBMW技術※を活用することにしました。
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※BMW技術とは、自然浄化を基礎とする農法です。
BMW技術とは、B=バクテリア M=ミネラル W=ウォーターの略で岩石と腐葉土と水の力による自然浄化を基礎とする農法です。 自然循環型の有機を目指す農家が近年増えておりアジアをはじめ世界でも認められ広がりをみせている技術です。特別な菌を用いるのではなく土着の微生物の力を活性化させて農産物や家畜を内部から健康にしていくことを目的としています。
BMW技術とは、B=バクテリア M=ミネラル W=ウォーターの略で岩石と腐葉土と水の力による自然浄化を基礎とする農法です。 自然循環型の有機を目指す農家が近年増えておりアジアをはじめ世界でも認められ広がりをみせている技術です。特別な菌を用いるのではなく土着の微生物の力を活性化させて農産物や家畜を内部から健康にしていくことを目的としています。
鶏舎の床が黒いのもそのBMW技術と関係があるのだそうですね。
――床に敷いているのは、敷料(しきりょう)と言います。鶏は60日間以上この上でずっと生活するわけです。だからこの敷料が鶏にとって快適だと思える状態を作りたかったのです。敷料は、普通、モミガラやおがくずを使うのですが、その使い終わった敷料を発酵させて再度使うことにしました。完全に発酵していますので、病原菌もいませんし、鶏が糞をしてもすぐに発酵が始まります。それで鶏舎もアンモニア臭がほとんどせずに鶏も穏やかに過ごせます。飼育が終わって敷料は運びだし、6ヶ月かけて発酵させます。それの繰り返しです。
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敷料の発酵をしている場所に来ましたが、出来上がった敷料は土の臭いがしますが。
――これが完全発酵している状態です。敷料を発酵させるためにBMW技術を使います。敷料を発酵させるために水分が必要ですが、BMW技術で作った生物活性水を発酵の際に使うと実にうまくいきます。発酵の過程で、モミガラやおがくずを加えて、それも一緒に発酵させます。最後は土のような臭いがしてきます。鶏はこれが好きなんですよ。これを鶏舎に戻して、また敷料として使うことになります。近隣の農家にも完全発酵堆肥として好評です。
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こんな環境で育つ鶏は安心して購入できますね。
――はい。鶏舎周辺の環境も良いし、エサや敷料にもこだわってきました。鶏の穏やかな目を見ると安心します。
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日永さんが育てた若鳥はこちらから